2013年2月24日日曜日

工学部・水柿助教授の日常

奥様須磨子さんとのやり取り、そして大学生活の中で起こる小さなミステリィが、後の伏線でもなく、大きな結論を支える論拠でもなく、さらさらと現れては消えていく。
小説であることを強調して逆説的にエッセイだと思わせる手法か。今となっては貴重な研究者としての日常は、須磨子さんとの生活が始まったばかりということもありとても楽しそう。きっと青春時代だったのだろう。

工学部・水柿助教授の日常 (幻冬舎文庫)工学部・水柿助教授の日常 (幻冬舎文庫)
森 博嗣

幻冬舎  2004-12
売り上げランキング : 66571

Amazonで詳しく見る by G-Tools

2013年2月21日木曜日

Confusion is Next

新しい会社の感想。
"The more we embrace this chaos, the more we embrace the brilliant possibilities that might emerge." / Leo Babauta

2013年2月14日木曜日

工学部・水柿助教授の解脱 The Nirvana of Dr.Mizukaki

森先生の自叙伝のようなフィクションのような水柿助教授シリーズ最終巻。

愛犬パスカルが迎えられ、水柿家の重心がパスカルに移った。僕自身も愛犬家なので、パスカルを大事にして共に生活する様子はとても共感できる。犬と生活するというのは、犬中心の生活をするということ。(両親に任せきりとなっていたけれど)小さい頃のおしっこの世話とか大変ですよね。

また、小説が大ヒットしてベストセラー作家となり、一生お金の心配が無くなったことの生活への影響が素直に書かれている。制約条件は無くなりより自由になったが、それでもコアとなる価値観は変わらない。人を支配したいという要求は無く、自分の思い通りのことがしたい、未知のものへ近づきたいという要求だけがある。そんな素直な気持ちが根底にあるからこそ、彼の諸作に惹かれるのだろう。


工学部・水柿助教授の解脱 The Nirvana of Dr.Mizukaki (幻冬舎文庫)工学部・水柿助教授の解脱 The Nirvana of Dr.Mizukaki (幻冬舎文庫)
森 博嗣

幻冬舎  2011-10-12
売り上げランキング : 131172

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

2013年2月7日木曜日

挑まなければ、得られない Nothing ventured, nothing gained.


著名なエンジニアである及川卓也さんのワークスタイルを特集したNHK「プロフェッショナル仕事の流儀」を視た時、大きな衝撃を受けた。

技術潮流の変化が激しい中で非常に高い知見を維持しているプロフェッショナルさ、チームを刺激し/方向付け/前に動かすリーダーシップ、グローバルにスケールするサービスを生み出していこうとする高い志。当時成長の踊り場に入りまどろんでいた自分には、とても眩しく映った。

ブログをまとめた著作からは、変化することが定常状態であるとして、ユーザーや技術の変化に対して、非常に柔軟に解釈し受け止められている様子が窺えた。

世の中に大きなインパクトを生み出しているフィールドで働いてみたいという気持ちが強まったのはこの出会いのためであり、極端な話、及川さんを知らなければ現在彼が働いているフィールドに飛び込んでみようと決めはしなかっただろう。
そのくらい大きな衝撃だった。
成長して面白い話ができるようになったら、是非一度お会いしてみたい。


プロフェッショナル 仕事の流儀 IT技術者 及川卓也の仕事 挑まなければ、得られない [DVD]プロフェッショナル 仕事の流儀 IT技術者 及川卓也の仕事 挑まなければ、得られない [DVD]

NHKエンタープライズ  2012-08-24
売り上げランキング : 47466

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


挑まなければ、得られない Nothing ventured, nothing gained. (インプレス選書)挑まなければ、得られない Nothing ventured, nothing gained. (インプレス選書)
及川 卓也

インプレスジャパン  2012-05-18
売り上げランキング : 90798

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

2013年2月6日水曜日

Excelでマスターする ビジネスデータ分析 実践の極意

エクセルで売上伝票等を分析する際の具体的な操作方法を紹介した指南書。BIツールの普及等により、基幹システムからマート化したデータをOA環境で分析できるようになってきたため、この手の分析スキル系の本は需要が高まっている。
多変量解析や回帰分析等の統計的手法は対象外となっており、基礎的なピボットテーブルの作成方法やグラフ化を中心に紹介されているため、エクセルでの分析作業を学ぶ上で最適な最初の一冊。データサンプルがついているのも実践的で嬉しい。

Excelでマスターする ビジネスデータ分析 実践の極意Excelでマスターする ビジネスデータ分析 実践の極意
住中 光夫

アスキー  2003-05-31
売り上げランキング : 28122

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

ted

ようやく映画tedを観た。
ご承知の通りネタは下品だが作りが丁寧なので、抵抗無く楽しめました。

・意外なことに、会場にはカップルが多かった
・草の吸引シーンはOKなのに、粉末の吸引シーンはダメなんだ
・Cから始まる4 letter wordを聞くことになるとは
・一人下ネタの度に爆笑するお客さんが居た。確実に彼とは友達になれる
・くまモン等、時事ネタを駆使した翻訳には賛否両論あるのでは
・笑い一辺倒かと思いきや、わりと感動要素あり

日曜夕方の六本木TOHOシネマズはほぼ満員で、人気の高さに驚いた。
意識が低い大人なので、プレゼンのTEDよりもこっちのtedのほうが好きです。

2013年2月4日月曜日

工学部・水柿助教授の逡巡

森先生が水柿助教授というペルソナを立てて著したフィクションのような、自叙伝のような、中間的で不定な作品。S&Mシリーズ4作を発表して小説家になるまでの過程が描かれており、そのきっかけともたらされた変化がとても興味深い。
諸作の中でも際立ってくだけて奔放な文体は、ご自身のことを語る気恥ずかしさがあるからなのかな。核にある奥様須磨子さんと水柿助教授のやりとりは、非常に面白く微笑ましく頬が緩む。
森先生が小説家になるまでの様子が窺え、よしもとばななさんによるあとがきも読める。意外に盛りだくさんでお腹いっぱいになる一冊。

工学部・水柿助教授の逡巡 (幻冬舎文庫)工学部・水柿助教授の逡巡 (幻冬舎文庫)
森 博嗣

幻冬舎  2007-10
売り上げランキング : 218303

Amazonで詳しく見る by G-Tools

My Bloody Valentine Released Long-Awaited New Album

マイブラ22年ぶりの新譜が最高過ぎる。
初めて彼らの音源を聴いたのは高校の時で、その時ですら10年近く新譜が待たれている状態だった。
早速オフィシャルサイトからダウンロードして聴いてみたけど、マイブラはマイブラでしかなく、その鮮やかな音像は22年経っても変わっていなかった。
Recording期間は1996–1997, 2007–2012。ここに至るまでの道程を思うと泣けてくる。中でも"who sees you"が最高にいい。一生聴き続けたい。

2013年2月3日日曜日

ポーター賞受賞理由から察する「ほぼ日」の成功要因

結構前の話になるが、2012年ポーター賞受賞企業に「ほぼ日刊イトイ新聞」を運営している東京糸井重里事務所が選ばれた。下記にそのユニークなビジネスモデルが紹介されている。
http://www.porterprize.org/pastwinner/

従業員数48名というスリムな事業体ながら、広告配信も有料メルマガも行わず、ECのみで売上高28億円を稼ぎ出し、投下資本利益率で33.1%、営業利益率で12.1%も業界平均を上回る脅威のパフォーマンスを発揮している(2011年度)。


メインコンテンツである糸井重里氏自身の日記や特集記事は、隣人に語りかけるやわらかい文体とし、27文字目で改行する等の規則を設けてユーザビリティを高めているとのこと。

結果、月間110万もの訪問者数を誇る人気サイトとなっている。日々発見がある居心地の良い場所を提供して、自分たちと価値観の合うユーザーを集め、ちょっと生活が良くなる高品質な商品を提供している。

プロジェクトの予算管理を行わない、定例会議を行わない、業務命令も行わない、といった柔軟で従業員の自発性に任せたオペレーションも興味深い。「動機、実行、集合」の全てが揃っており、社内にあるだけでなく、それぞれが社会とつながっていること。それがプロジェクトの原則とのことだが、非常に納得感がある。

自分たちがいいと思うことを、いいと思ってくれる人に語りかけ、いいと思うものだけを売る。商売の考え方としては、いわゆるECサイトよりも昔ながらの地場産業に近い。

「日常に根ざしていること、人は何を嬉しいと思うか」
収益性や市場環境に惑わされず、この問いかけを愚直に繰り返している企業文化こそが、競争優位性の源泉なのだろう。

2013年2月1日金曜日

2012年の ” カピバラ ” ブームを振り返る

ここ最近、ちょっとした思いつきがあるとGoogleトレンドに打ち込んで検索結果の推移を見て楽しんでいる。リアルイベントのWebへの波及効果(弾力性)が垣間見え、好奇心が刺激される。

2012年 / 日本 Web全体を対象に、個人的なお気に入り動物である ”カピバラ” の検索結果を確認してみた。

Googleトレンドで確認してみると、2012年、キーワード ”カピバラ” の検索結果*には、春(4/29~5/5)と冬(12/16~22)、2つのピークがあった。
(*検索ボリュームの最大値を100とする指数値)



キーワード ”カピバラ” の検索結果は2つの対象へのニーズを表している。
ⅰ) キャラクターグッズ カピバラさん
ⅱ) 動物園にいるリアルカピバラ

キーワード ”カピバラ” は両対象へのニーズを内包してしまうため、包含関係を考慮し、まずⅰ)がピークに効いているか確認する。

ⅰ)キャラクターグッズ カピバラさん を念頭に、キーワード ”カピバラさん” の検索結果を確認してみる。すると、春のトレンドには効いているものの、冬のトレンド*の決定打ではないことが分かる。

(*キャラクターグッズという特性故に、例年クリスマスシーズンの12月半ばに検索が増加している。ショッピングカテゴリに絞るとこの期間が最大になるが、当該カテゴリは検索クエリの10%未満なので、決定要因からは除外している)




冬のトレンドの主な要因は ⅱ)動物園にいるリアルカピバラ だと考えられる。

その前提でリアルカピバラに関連する頻出キーワード ”カピバラ 温泉” の検索結果を確認すると、想定通り12月にピークが発生している。テレビやオンラインニュースで、風物詩である動物園のカピバラが温泉に入浴する様子が報道されたためだと思われる。


では、ⅰ)キャラクターグッズ カピバラさん が喚起した、春のトレンドの要因は何だったのだろうか。

期間的にGW関連キャンペーン(限定グッズ・ショップ)かと思い”カピバラさん 限定”で調べてみたが、該当期間に際立ったピークは現れなかった。
仮説に漏れがあると思い直して、Googleニュースでピーク期間を指定しニュース記事を調べてみると、母の日に向けて、4月上旬から5がつ上旬にかけて、全国のセブンイレブンでカピバラさんキャンペーンが張られていたことが判明した。この要因が寄与していた可能性は高い。

カピバラさんと一緒に似顔絵で伝える「お母さんありがとう」 2012/4/16
http://www.j-cast.com/mono/2012/04/16129082.html

以上より、やや強引だが、ⅰ) キャラクターグッズ カピバラさん と、ⅱ) 動物園にいるリアルカピバラのコラボレーションにより、お互いのトレンドを活かした協働による収益拡大の余地があるとの示唆が得られる。
例えば、現在実施している伊豆シャボテン公園とのコラボ企画も、カピバラ温泉のトレンドを考慮し11月~12月前半には開始すれば、より多くのカピバラさんファンを獲得できたのではないか。

複数年での時系列トレンド等、深耕すべき課題は残されているが、本稿での言及はここまでとしたい。ありがとうございました。