2013年2月4日月曜日

工学部・水柿助教授の逡巡

森先生が水柿助教授というペルソナを立てて著したフィクションのような、自叙伝のような、中間的で不定な作品。S&Mシリーズ4作を発表して小説家になるまでの過程が描かれており、そのきっかけともたらされた変化がとても興味深い。
諸作の中でも際立ってくだけて奔放な文体は、ご自身のことを語る気恥ずかしさがあるからなのかな。核にある奥様須磨子さんと水柿助教授のやりとりは、非常に面白く微笑ましく頬が緩む。
森先生が小説家になるまでの様子が窺え、よしもとばななさんによるあとがきも読める。意外に盛りだくさんでお腹いっぱいになる一冊。

工学部・水柿助教授の逡巡 (幻冬舎文庫)工学部・水柿助教授の逡巡 (幻冬舎文庫)
森 博嗣

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