2013年7月28日日曜日

使い道のない風景

夏休みムードに乗せられ手に取った村上春樹さんのエッセイ。文量は少ないが、その分固く結晶化された選びぬかれた言葉が綴られており、旅を希求する心情がすっと入ってくる。稲越さんの写真も旅先の風景といった感じで旅情をかきたてる。
最も響いたセンテンスを以下に引用する(P.104)。
「たぶん僕らはそこに自分のための風景を見つけようとしているのだ。少なくとも僕はそう思う。そしてそれはそこでしか見ることのできない風景なのだ。僕にはおそらくそのような風景が必要なのだ。どれほど使い道がなかったとしても、それらの風景を僕は必要としているのだし、それらの風景は僕らを根本的にひきつけることになるのだ。」
使いみちのない風景 (中公文庫)使いみちのない風景 (中公文庫)
村上 春樹 稲越 功一

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