2010年1月12日火曜日

赤い靴

10日に映画監督でもある奥秀太郎氏がディレクターを、
元宝塚月組スター娘役の映美 くららさんが主演を務める舞台、
「赤い靴」を鑑賞しました。
会場は池袋の東京芸術劇場小ホール。

氏の前作舞台、藤谷文子さん主演の「黒猫」は舞台としてではなく
舞台を撮影した映画・劇シネとして視ました。
虚構(妄想)と現実が入り混じりめまぐるしく両者を行き来する独特の内容は、
精度の高い舞台映像も相まり、毒気と幻想的な印象を残しました。

今作は二つの「赤い靴」が原作としてインプットされ編まれています。
一つは、野口雨情作詞の童謡。
両親に置き去りにされ、宣教師の下で育てられる少女の話。
もう一つはアンデルセンの童謡。
赤い靴を履いたために死ぬまで踊り続ける呪いを掛けられた少女の話。

ストーリー構成や技巧を凝らした舞台演出よりも、
とにかく、映美くららさんの「踊り」が素晴らしかった。
それは動作が意識的で体系化された「ダンス」ではなく、
踊らなければいられない故に身体が動いてしまう「踊り」でした。

ラストの裁判所で踊るシーン。
可憐な容姿、病的な熱意、しなやかな四肢の動き、
全てに引き込まれ強く心に残っています。

赤い靴を履いて両親に取り残された孤独な少女。
その孤独な心の拠り所としての思いを込めた踊り。

踊りを見て感じる感動の発生源は高い技巧だけではなく、
踊りの意味性と主体の熱意だということを認識した舞台でした。

http://www.okushutaro.com/stage/redshoes/index.html