2014年4月6日日曜日

ザ・アドテクノロジー データマーケティングの基礎からアトリビューションの概念まで

mediba/スケールアウトCMOの菅原氏を中心とした有識者によって著されたMarkeZineの連載を書籍化。ネット広告の概要からDSP, 3PASといった比較的新しいアドテクノロジー、そしてアトリビューションに至るまでデジタルマーケティングに関するトピックが幅広く網羅的に紹介されている。茫洋としたデジタルマーケティング界のアウトラインを知るには最適な一冊だろう。この一冊で全体の構造を把握し、その上で各領域のテーマを深堀りしていけば高い学習効率を得られるのではないか。

本書におけるデジタルマーケティングの定義は非常に説得力がある。"デジタルマーケティングとは、デジタル施策によって得られるデータを活用して、マーケティング活動全体を最適化することです(P.37)"。オフライン媒体との二項対立で語られるものではなく、デジタルとデータを中核に据えマーケティング活動全体を進化させるための試みであると。改めて肝に銘じ、高く広い視点を欠かさないようにしたい。

ザ・アドテクノロジー データマーケティングの基礎からアトリビューションの概念までザ・アドテクノロジー データマーケティングの基礎からアトリビューションの概念まで
菅原 健一 有園 雄一 岡田 吉弘 杉原 剛

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2014年4月5日土曜日

爆速経営 新生ヤフーの500日

宮坂現社長によるYahoo! Japan新体制の挑戦記。Yahoo! Japanの隆盛を支えたカリスマ経営者、井上雅博氏から経営を引き継いだというだけありプレッシャーも大きかったようだが、「10倍挑戦、5倍失敗、2倍成功」という意思決定の「量」を積むことで学習曲線を上げて行く経営スタイルを掲げ、大きな成長を実現。とにかく、意思決定のスピード感には圧倒される。

新たな体制を始めるにあたり、まず経営チームの組成と達成目標(登る山)を決めたという。組織の閉塞感を打破するために、非現実的ではないが今のペースでは絶対に達成できない水準に目標をセットする。「201X年までに、営業利益を2倍にする。」と。その上で以下のようなイニシアチブを策定し、戦略に落とし込んでいった。

・オンリーワン
・異業種最強タッグ
・未踏領域への挑戦
・スマホファースト

何よりも、爆速という言葉の浸透が会社に一体感とカルチャーを生み、改革に非常に大きな貢献を果たしたように思える。「宮坂社長は何よりも言葉にこだわる。聴衆の頭にすっと入ってくるような、端的で理解しやすいフレーズを選んでいる。」とあるが、社員5,000人、時価総額3兆円に迫る大組織を動かすためには、シンプルで力強い言葉を執拗に訴え続けるしかないのだろう。非常に勉強になる。

爆速経営―新生ヤフーの500日爆速経営―新生ヤフーの500日
蛯谷 敏

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