2010年11月17日水曜日

プラットフォーム戦略

おサイフケータイの構築と普及に尽力したビジネススクール講師による、プラットフォームビジネスの定義付けと解説。

メディアで好調な企業のビジネスモデルとしてよく聞くが、しかしよく説明できない「プラットフォーム」。Amazon, 楽天, Apple (iTunes Music Store), Facebook, DeNA・・・。これらの企業はなぜ好調なのか?
本書の価値はプラットフォームの定義、特徴、および参入の際に留意すべき点を明記した点にある。

以下二点が腹に落ちれば、上記の疑問に答えるための端緒は掴めるかと。
・プラットフォーム戦略とは、複数のグループを、共通の「場」に乗せることによって、外部ネットワーク効果を創造し、新しい事業のエコシステムを構築する戦略である。
・プラットフォームには、複数の異なるグループのマッチング機能、オペレーションコストの削減機能、ブランディングによる検索コストの低減機能、外部ネットワーク効果機能、コミュニケーションを媒介する三角プリズム機能がある。

・ハードルの高い「プラットフォーム戦略思考」
今(将来)のビジネスで成功する人材の要件として、「プラットフォーム戦略思考」を有していることが挙げられている。
そしてそれは、「多様な考え方を理解し、顧客のニーズを把握するだけでなく、その場で問題解決を行う思考力をもった社員、自社の製品やサービスが満たしている『本源的な欲求』が何かを認識・把握し、顕在化していない次のニーズを予想し、国内外を問わず競合商品やサービスの動きを迅速にとらえ、IT化やグローバル化、技術革新の動きなどを正確に認識したうえで、それらを戦略として経営層にフィードバックすることができる人材、そのビジネスモデルを構築できる社員、さらに企業の枠を超えたアライアンスを推進できるエバンジェリストともいうべきコミュニケーション力、人脈力をもった人材」と定義されている。
網羅性は十分過ぎるほどだが、それ故印象に残りにくいので、プラットフォーム戦略の推進にとりわけ必要な能力、として必要条件のみ抽出し十分条件を省くか、優先順位付けをするなどして再整理したほうが理解し易いか。

・その特徴から演繹的に理解するよりも、各社のケースを積み上げて理解すべき
そもそも抽象度の高いビジネスモデルなので、本書で言及している定義、特徴や参入のアプローチを頭に入れるだけでなく、各社のケースを分析しなければ、人に語れるレベルの理解に至らないように感じる。あくまでもプラットフォームビジネスの概要と要点を理解するための入門書という位置付けで読むべき。
プラットフォーム戦略プラットフォーム戦略
平野 敦士 カール アンドレイ・ハギウ

東洋経済新報社  2010-07-30
売り上げランキング : 38178

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

0 件のコメント:

コメントを投稿