2010年11月15日月曜日

大学の話をしましょうか―最高学府のデバイスとポテンシャル

元名古屋大学工学部助教授にして、小説家でもある森博嗣先生が、大学の意義とそのシステム上の欠陥について、インタビュー形式で論じています。
・教官が付加価値を生む、本来の仕事に注力できなくなっていく
大学の教官の役割は、教員、研究者、そして事務員の3つであり、助手、准教授(助教授)、教授と昇進していくに従って研究費の申請や大学の運営会議といった事務的な側面の仕事が増えていく。このポジションが上がり報酬は上がる一方で、付加価値の低い仕事の比率が増えているという矛盾が、大学がそのポテンシャルを十分に発揮出来ていない一因であるように思えます。大学の唯一のコンテンツであり、競争力の源泉であり、本質は所属する研究者にあります。研究者が付加価値を生むロールを最大限発揮できるような環境を整備する(事務処理や大学の運営を専任で担当する人材が居て、教官は研究と教育に重点を置いて活動できる等)ことで、より効率的に大学の力を高められるのではないでしょうか。
・大学(院)で学ぶことの魅力は、研究者の姿勢を見ることにある
著者は大学(院)の魅力は、研究者を間近に見て、勉強そのものの楽しさに触れることだと述べています。また視点を教える側に変えてみると、「教育というのは、先生が生徒に力を見せるものなんです」と断言しています。非常に優秀であり、その上研鑽を積んでいる教員の姿から、間近で学ぶ姿勢を学べるのならば、それは大学のポテンシャルの発揮として、この上なく豊かな体験となるのでしょう。
大学の話をしましょうか―最高学府のデバイスとポテンシャル (中公新書ラクレ)大学の話をしましょうか―最高学府のデバイスとポテンシャル (中公新書ラクレ)
森 博嗣

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