2014年9月7日日曜日

私の仕事術

マネックスグループCEO松本大さんによる仕事術。ソロモン・ブラザーズでジョン・メリウェザーの薫陶を受け、ゴールドマン・サックスで最年少ゼネラル・パートナーとなり、マネックス証券を起業、そんな輝かしい経歴の背後にある仕事に対する哲学を学ぶことができる。巷に溢れる意識高い系書籍とは一線を画す一貫して謙虚な語り口には敬意を抱かずにはいられない。

ベストではなくベターを目指す、仕事のクオリティとディスカウントレートなど、時間感覚を強く意識しているのはトレーダーとしてキャリアをスタートしたゆえか。「自己否定とは、自分という機会の火を落としてしまうことなので、何の意味もないことなのです。」という自己否定を完全否定する言葉、そして継続することの重要性を説いた箇所が強く心に残った。

本当に素晴らしい内容で、30代が近づき自分の仕事術を再考する上でこの上ない教科書となった。咀嚼し、実践し、血肉としていきたい。

私の仕事術 (講談社+α文庫)私の仕事術 (講談社+α文庫)
松本 大

講談社  2006-08-19
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2014年8月17日日曜日

All You Need Is Kill (Manga)

ハリウッド映画版の公開という大分ミーハーなタイミングだが、Kindleであったのでとりあえずマンガ版を読んでみた。戦争(闘争)、恋愛そして根底にあるループからの脱出という三要素が綺麗にまとまっておりテンポ良く楽しめた。

ループものに関して、最近のものでは本作を含め3つの代表的な作品(まどマギ、シュタゲ)を視聴/読了した経験があるが、この系統の大まかな流れは以下のような感じなのだと推察される。

1.主人公あるいはキーパーソンに著しく不利益を及ぼす状況(逸失利益含む)が迫る
2.ループによって回避する
3.より良い方向に状況を変えるためにループを濫用する
4.当初の不利益は回避するが、予期しなかった新たな不利益が生じる
5.他のループしている者と出会う
6.ループの発生条件を整理し、帰納的に原因を特定する
7.重要なトレードオフを伴う決断を経て運命は収束し、ループを脱する(了)

そして、雑な括りだがループは手法上以下の3つに大別されるようだ。
A.タイムトラベル型:過去に物理的(?)に遡行し過去のあるポイントからやり直す
B.メッセージ型:過去にメッセージを送り過去の行動を変えることで現在以降を変える
C.クリア条件型:AやBとは異なり能動的に発生させることはできず、解除条件が第三者により設定されており、条件を満たすまで強制的にループが続く

まどマギはA、シュタゲはB、本作はCといったところか。言うまでもなく話のキモはループの発生/解除条件であり、そして選択される運命とそれに伴うトレードオフがドラマ性を生む。この2点の作り込みが作品のクオリティを左右する。

そのようなわけでループものは構造が綺麗な話が多くゲーム感覚で楽しめ、割りと好きだ。
分岐図とかできそうだし、構造的な思考を好む人が惹かれるのではないかな。

All You Need Is Kill 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)All You Need Is Kill 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
桜坂洋 竹内良輔 安倍吉俊 小畑健

集英社  2014-06-19
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2014年6月19日木曜日

世界のエリートは大事にしないが、普通の人にはそこそこ役立つビジネス書

デイリーポータルZのウェブマスター林雄司さんの仕事の流儀を紹介した一冊。
個人的に、ここしばらく読んだビジネス書の中でベスト。77もの仕事でラクするためのメソッドが紹介されているが、それらは決して手を抜くための抜け道的なものではなく、心の平静を保ったまま効率的に仕事を進めるための立派なノウハウである。
「記事には情報か共感があれば良い」、「知識でおびき寄せてエピソードで引きずり込む」、「自由度が低い方が人は集まる」、といったデイリーポータルZの骨格となるコンセプトは、B2Cマーケを考える上で普遍的に役立つもののように思える。
ただでさえ情報過多のウェブで存在感を出し続けるには、ユニークなコンテンツを提供し続けなければならない。そのアイディアをひねり出すためのコンセプト、仕組み、そして企画の立て方は競争力のあるサービスを作る上で欠かせない。実は真面目なコンテンツと力の抜けた文体のバランスが心地よくさっくり読めるが、意外に深く残る。折にふれて読み返したい。

世界のエリートは大事にしないが、普通の人にはそこそこ役立つビジネス書世界のエリートは大事にしないが、普通の人にはそこそこ役立つビジネス書
林 雄司

扶桑社  2014-04-10
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2014年6月7日土曜日

女のいない男たち

村上春樹さん9年ぶりの短篇集。様々な理由から親密な関係にある女性を失った男たちの姿が描かれる。女のいない世界に入り込むこと、アンモナイトとシーラカンスと共に暗い海の底に沈むような喪失感に身を浸すこと。全体に通奏低音として響くモノトーンの喪失感は、トニー滝谷を彷彿とさせる。
若くポップなトーンで気持ちの良いアクセントとなっている「イエスタデイ」が特に印象に残った。文藝春秋に掲載されたオリジナルから削除されてしまった、関西弁版イエスタデイの歌詞については残念に思う。あれはフルコーラスあったからこそインパクトがあった。

女のいない男たち女のいない男たち
村上 春樹

文藝春秋  2014-04-18
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頭脳勝負

渡辺明永世竜王による、棋士の基本的な考え方・生き方を通じて将棋の世界を紹介した一冊。序盤/中盤/終盤といった局面での集中力の配分や、実戦の棋譜の振り返りはプロの考え方が垣間見え非常に興味深い。単に玉を囲えば良いというわけではない攻守のバランスや一手遅れることの致命的なロス、そしてその緻密な闘いを可能とする驚異的な頭脳と強いメンタル。深い敬意を抱かずにはいられない。

頭脳勝負―将棋の世界 (ちくま新書)頭脳勝負―将棋の世界 (ちくま新書)
渡辺 明

筑摩書房  2007-11
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2014年5月20日火曜日

ITビジネスの原理

McKinseyでiモード案件、リクルート、Google、そして楽天へとインターネット関連企業群にて10回もの転職を重ねた著者による、インターネットビジネスの原理原則を解き明かした解説書。
(おそらくは意図を持って)口述体で幅広い論点について言及されているので、若干の読みにくさを感じなくもないが、インターネットに軸足を置いたビジネスに対して感じていた茫漠とした印象が流れるように言語化されていき、読了時には思考が整理された感覚を覚えた。
著者の主張するハイコンテクストなインターネットの活用が、楽天のようなプラットフォームによるものか、Google Glassのようなデバイスによるものか、いずれにせよどのように実装されどのように人々の生活を豊かにしていくのか非常に楽しみにしている。この業界の片隅に身を置く者として、その早期実現に貢献できれば幸いである。

ITビジネスの原理ITビジネスの原理
尾原 和啓

NHK出版  2014-01-28
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2014年5月15日木曜日

なぜ一流の男の腹は出ていないのか?

IT企業の営業という仕事と平行して、半年で14kg/一年で25kgのダイエットに成功した著者によるダイエット指南本。ビジネスで成功し一流の男になるためには腹を凹ませる必要がある、とビジネスにおける成功論というコンテキストでダイエットを捉えた切り口は新鮮であり、巷に溢れるダイエット本とは一線を画す存在感がある。

ビジネスマンはなぜ腹を凹まさなければならないのか、仕事や飲み会で多忙な中どのように持続的なダイエットを実施していくか、その要諦が紹介されている。内容は至って真面目であり、派手な奇手は無く、身体作りのためにやるべきことを愚直にやり続けることの重要性が強調されている。ダイエットはイベントではなく、生活習慣であるべきであると。ビジネスマンとして第一線で働きながら大幅なダイエットを実現した著者の経験に基く方法論であるため、同じビジネスマンとして強い説得力を感じる。

また、タイトルに代表されるように、キャッチコピーの絶妙さは本書の大きな特徴となっている。紹介される53のダイエット方法論は食生活の改善から運動量の増加という形での生活習慣改善と網羅的であり非常に実践的だが、決して真新しいものではない。
しかし、それがこれだけ消費者の琴線に触れるのは、「腹のたるんだリーダーに人はついてこない」等、とにかく「腹」にフォーカスを絞ったメッセージングによるためだろう。腹を凹ませるための方法論以上に、この研ぎ澄まされた訴求方法が非常に勉強になった。
なぜ一流の男の腹は出ていないのか?なぜ一流の男の腹は出ていないのか?
小林 一行

かんき出版  2014-03-27
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