2013年5月2日木曜日

ブラフマンの埋葬

具体的に何者か語られない謎の生き物"ブラフマン"と、一芸に秀でた人々がインスピレーションを求めて滞在する宿に勤める青年の生活が語られる。
物哀しく行き場のない雰囲気の中、タイトルから察せられる結末に向かって物語は静かに進行していく。この胸の空白のような痛みを伴う静けさこそが小川洋子の本質なのだろう。改めてそう感じさせる作品。
アメリカ出張の飛行機内で読書灯を頼りに読み終えたが、ひそやかな非現実感に飲まれ、ひととき自分の状況を見失ってしまった。

ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)
小川 洋子

講談社  2007-04-13
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