2013年4月12日金曜日

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

作品全体に淡い影を落とす過去の喪失感は「国境の南、太陽の西」に通じるが、主軸となる主人公の傷跡は死の間際に接近するほど深刻であり、彼自身の価値観を大きく変容させてしまう。
人は傷によって、その痛みによって、そして脆さによってこそ調和している。一見シンプルなストーリーながら、そのような重いテーマが心に残る。個人的には2000年代の諸作の中でもとりわけ印象に残る、本当に素晴らしい作品だと思う。


色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年
村上 春樹

文藝春秋  2013-04-12
売り上げランキング : 5

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

0 件のコメント:

コメントを投稿